まだ東京は冬の装いが残っている頃。午後遅めに成田空港へ着き、またいそいそと海外へ出発です。海外出張に使う空港としては断然成田派の私は、体に染み付いた導線を移動しながら空港内で最終的な旅の準備を終えてゆきます。多少の効率を無視して旅情を楽しむという意味でこのルーティンはここ数年大きな変化はありません。
・予約した海外WiFi機器のピックアップ
・本屋で機内(往復)+現地ホテルで読む本の購入
・雑貨屋の物色
・本屋で機内(往復)+現地ホテルで読む本の購入
・雑貨屋の物色
これらをチェックイン前にパパパっと済ませます。これはどの旅行客とも大きく変わらないかと思いますが、本は電子書籍ではなくかさばっても「紙の本」、そして雑貨類も街で買うのではなく、空港の気分で買うってのは旅のテンションを維持する上で私にとってはどうしても効率重視になれない部分です。
また、外貨両替は現地でやる場合と、必要最小限は街中ですでに済ませているので空港では行いません。時間短縮という点ではこれはとても重要な一手間だと思います。空港の外貨両替のあの長い列に並ぶのは個人的には最もゲンナリする瞬間です。さ、今回はちょっとしたトラブルでビジネスクラスが予約できず「プレミアムエコノミー」です!しかしながら旅慣れた男に座席クラスは関係ない!とプレエコの楽しみ方、ご紹介しようと思いますっ。
必要な作業が終わってしまえば一目散にチェックインし、ラウンジに駆け込みます。昼飯を兼ねて温かい蕎麦をいただき、ゆっくりコーヒーを飲みながら最後の一服をしているといよいよ体も空の旅へ向けての準備が整うという感じでしょうか。
あいにくこの日の天候は雨。準備される出発機の周りの景色も寒そうな、視界のひらけない鉛色の雲が広がる状態です。ただ、私は出発時の雨はどちらかといえば好きな方なんです。というのも、離陸後数分で雨雲を突き抜け快晴な空に上昇して行く感じが日常から離れて旅が始まって行く開放感をより強く感じられますからね。皆さんはどうなんでしょう?やっぱ出発は晴れの方がいいですか?
しかし本日はこれからが本場、いや旅慣れた自分の経験で目一杯心地良く過ごさねばならない時間となります。・・・というのも急に決定した出張のため、使用便のビジネスクラスは満席となっており、空席待ちでも残念ながら空かず、往路は「プレミアムエコノミー」での移動となるからです。別便のスタッフの工程などとも勘案し、別キャリアでの移動の選択も私の私のスケジュールとは合わなかったため、往路は我慢・・・と相成りました。
17:08にドアクローズとなり、私の乗った「NH8便(成田→サンフランシスコ)」便は、やや定刻を遅れたスケジュールではあるものの、17:41には極めて視界の悪いRWY16Rより南へ向け離陸です。飛行マイルは5117mile、予定飛行時間は8時間47分の空の旅が幕を開けました。
さて、この9時間弱のプレミアムエコノミーの旅。フルフラットで寝ることができず、また人口密集度も高いキャビンでどうくつろぐか。一番重要なのは「他の人の一挙手一投足に影響されない」ことかと思います。海外出張が多い方の多くがお持ちのノイズキャンセリングヘッドフォンは、目を閉じてしまえばあまり周りの環境が気にならなくなる点でも重要なアイテムですよね。その点では多くの方が出張用に「BOSE Quiet Confort20」等を活用されている気がしますが、私は聴く音楽の特性上より中低域の音圧があるタイプが好きなので、ややミーハーですが「Beats Studio2」を使用しています。
※2018年10月追記:現在ではBeatsシリーズがだいぶ手元に増えてしまって、下記の「Mixr」から最新の「Studio3 Wireless」まで気分に合わせて様々なモデルを利用していますが、こういうのは音質の好みなので皆さん色々愛用のヘッドフォンなどがあるかと思います。
耳をすっぽり覆ってくれるStudio2の方が長時間の使用には向いています。
まずはこれで好きな音楽を聴きつつ、ノイズキャンセリングで環境音を程よく落として後は買ってきた本を読みふける・・・と。さらに言えば、ビジネスクラスやファーストとは違いエコ系は布団ではなく、ブランケットであり、且つ薄目の生地なので上空で場合によっては機内が寒すぎる場合もあります。寒すぎると寝れないばかりか、出張先で風邪をひくという眼も当てられない事態になりますので、私は常に腰に巻けば荷物にならない程度の少し暖かめの上着を季節問わず機内に持ち込んでいます。
スリッパはあれば便利ですが、そこまで神経質に持ち込む必要性も感じないので、持ち込んではいないですね。あとは保湿クリームや、リップクリーム、喉の弱い方は保湿タイプのマスクなんかは重宝するかと思います。
私は「Barefoot Dreams」のRon Herman別注色のものをよく持ち込みます。
そうこうしていると夕食が運ばれてきました。わずかなスペースに「おにぎり」「唐揚げ」「枝豆」「出汁巻き卵」「茶そば」「豆腐」「お漬物」「お味噌汁」が盛られているあたり、必要十分であり別に大きな不満はないのですが、いつものゆっくり食事をしようというモードではなく「早く片付けてコーヒーを貰おう」って気分になるのは偽らざる心境でしょうか(笑)。
コーヒーを飲みつつ、多少はリクライニング出来る座席を倒してしばし寝ます。ただこの中途半端に広い座席、実は熟睡するにはパーソナルスペースが狭く、ゴタゴタしている通常のエコノミークラスの喧騒の中の方がなぜか寝れる気がするのは気のせいでしょうかね?プレエコはどうも中途半端で寝るでもなく、起きてくつろぐでもなく、ビミョーというか、昔のプレエコの座席の方が寝れた気がしますね。
以外とこっち側から見るのは悪くはないです(笑)。
最終的な巡行高度はFL360(約36,000ft)。常に追い風が30-60kt吹いているので僅かに巡行時間を削ってますね。西海岸行きはアリューシャン列島やアラスカ上空を飛ぶルートをほぼ使わず、太平洋上を突き進む「PACOTS(Pacific Ocean Track System)」ルートを使いますので、地上の景色はほぼ出現せずほんと〜に、上空暇です。この日は複数本あるPACOTSの中でも最も北側を使うルートだったと記憶しています。
到着の約2時間半前に窓から見える空はうっすらと明るくなり夜明けを迎えます。このうっすら明かりが見えてくると機内は一気に到着に向け慌ただしくなる、という感じですかね。ただ、この朝の迎え方が「ゆるゆる」と始まるビジネスクラスに比べるとエコノミー系列の座席は「強制起動!」って感じで朝が来るのでビビりますね。一気に明るくなるし、問答無用でご飯ですものね。。。ファーストは下手すりゃ着陸直前まで起こされないですからね、その辺時間の進み方が機内でも大きく異なります。
朝食:ブリの照り焼き定食。う〜ん、殺風景(笑)
現地時刻の10:01に進入に向けた本格的な降下がスタートし、サンノゼをかすめながらグイグイ高度を下ろしてゆきます。数層に渡り厚い雲が折り重なる天気でしたので写真の様に、雲を抜けるとまたその下に雲の層があるといった、着陸降下のダイナミクスを楽しめる気象でした。この日は大量に湿気を含んだ大気でしたので、ジェットエンジンから主翼にかけて流れる空気が一気に圧縮され水蒸気化した筋が流れているのを写真で見ていただけると思います。
機体はこのまま順調に高度を下ろし、現地時刻10:32分、9時間24分の旅を終え無事サンフランシスコ国際空港のRWY28Lへ着陸。多少、いや結構?体はバキバキするものの、着陸前の勇壮な景色を楽しんだせいか、予想よりは低いストレスで到着することができました。
さて、サンフランシスコで仕事をこなし、帰りはいつも通りビジネスクラスで帰ろうと思います。そのお話はまたの機会に。ではまた!
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