ANA最新ファーストクラス『THE Suite』搭乗記! : ニューヨーク → 成田 (NH9 / JFK-NRT / First Class)

トラベル(海外)
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2020年最初の帰国便はANA最新のファーストクラス!

2020年の新年早々ニューヨークへ向かっていた私ですが、現地では相変わらずのマイペース行動でして、特段観光地へ行くでもなく淡々と仕事をしながらよく行くお店でちゃちゃ・・・っとご飯を済ませていました。

まぁ大抵朝ごはんはパンケーキですかね。よく東京でもパンケーキ食べてますけど、とにかく好きですね。個人的にはこのシュガーパウダーはなくてよくて、出来立てのパンケーキに動物性脂肪のバター(植物性は好きではない)をたっぷり付け、その上からこれまたたっぷりのライトコーンシロップ(メイプルはこれまたあまり好きではない)をかけて食べるスタイルがベストです。季節外れに暖かいニューヨークでしたが、朝のルーティンはいつも同じ・・・って感じでしょうか。

この前を何往復したかも忘れるくらい、これまでの滞在含めうろうろしている一角がここブライアントパーク周辺でしょうかね。このまま真っ直ぐ行けばグランドセントラルの駅ですし、途中で曲がれば5thを上にも下にも行けますしね、更にグラセンの逆側に歩けば数ブロックでタイムズスクエアにぶつかりますので、ミッドタウンの要所のど真ん中って感じでしょうか。冬の時期はブライアントパークがスケートリンクになっていますので露店も多く賑わっています。

夜は大好きな「Benjamin Steak House」ですかね。様々なステーキハウスをローテーションで行くようにしていますが、今回はここしばらく行っていなかったここを訪れさせてもらいました。夕方前の遅昼的に行くことが多いですね、店内も空いていますし、胃袋も東京時間で考えると限界まで空いている状態になりますのでニューヨークの夜に行くよりランチで行く方が美味しくいただけます。ニューヨークではランチをがっつり、夜を軽く・・・が我々のキーワードになっています。

素晴らしく大好きな「Black & Blue」の焼き加減です。生肉感が苦手な方は問答無用で「ミディアム」をお願いすべきでしょう。写真の焼き加減は「ミディアムレア」です。ウルフギャングもベンジャミンも元々は「ピータールーガー」で修行をしていた方が独立して作ったお店ですので、熟成肉+ブラック&ブルーの油が滴る焼き加減はこの手のニューヨークステーキの王道を行っていると思います。どのお店も東京進出を果たしてしまいましたので、なんだかニューヨークまで来て食べる良さが減ってしまった気はしますけどね。。。

宿泊していたホテルはリノベーション直後でしたので、非常に清潔感もあり過ごしやすい部屋でした。グロールホテルチェーン系列を今回は避けたのでアメニティやエリートステータスでのギフトなどは関係のない滞在でしたが、私にはこんな感じの部屋で十分です(笑)。突飛な部屋や全体のデザインの面白さはヨーロッパの方が楽しめる気がしますが、ニューヨークの淡々としたスタイリッシュさってのも暑苦しくなくて結構心地よいものがあります。

部屋には簡易キッチンもあり、そこそこ長期間滞在しても不便はなさそうな部屋でした。

今回はカメラを落とさないように帰ります!

昨年の12月の滞在では、帰国時のラガーディアで見事に一眼レフを地面に叩き落とし破壊した私ですので今回は「絶対に落とさないように」気をつけながら帰路につこうと思います。滞在後半にかけて徐々に気温が落ちてきているニューヨークの風を浴びながら、JFKのターミナル7に降り立ちました。ピリッっと頬を撫でる冷気を気持ちよく感じつつ、ターミナルの外で軽く一服です。晴れた空を眺めつつ、今回の旅のまとめを頭の中で振り返り、帰国後にすべきことや、東京に放置してきた遊びのスケジュールなどを再度組み立てる時間を過ごします。

相変わらずやる気のない位置に作られたチェックインカウンターに足を進めボーディングパスを受け取ろうと思います。昔々その昔はこの写真に写っている「First Class」「Business Class」のチェックインを分けるスタンドパネルなどもなく、え・・・こんな簡素な感じでファーストのチェックインなん?って雰囲気でしたが、最近はほんのちょっとだけご覧のように改善されましたね。

◆◆◆

●やる気のなさすぎなファーストチェックインの様子も入った過去のニューヨーク便ファースクラス搭乗記はこちら!

チェックインをしてしまえばその後はさっさと保安検査場を通過し、そのままラウンジへINです。同じ場所にあるラウンジエントランスにたどり着くと右側が「ビジネスクラスラウンジ」、そして左側が「ファーストクラスラウンジ」となっています。ニューヨークではまったくアライアンス関係なく「British Airways」のラウンジをANAは利用していますので、BAテイストを若干ですが味わうことが可能です。(ターミナル7自体がとても小さな辺境ターミナルなので施設が全体的に力入っていないのがとても悲しいところですが・・・)

ラウンジの最も奥にバーカウンターも備わっているファーストラウンジではありますが、残念ながらANAフライトの時間帯は「バーテンダーがいません」(笑)。誰かスタッフを捕まえれば出てくるかもしれませんが、ここが賑わっているの見たことないんだよなぁ・・・。

時間帯的なものもあるんでしょうが、食べ物などもあまりふんだんに提供されているラウンジではないので、大抵いつもクッキーやヨーグルトを軽くつまんで、あとはカフェラテか紅茶を飲みながら時間を過ごします。多大な時間をラウンジで過ごすトランジット便ではないので、この程度のサービスで困ることはないですが、そういう旅客の多い時間帯はおそらくサービスポリシーが変わるのだと思われます。過去、ロンドンからの帰りに利用した『UNITED Global First Lounge』は、下の写真の様に非常に落ち着いた空間やプライベートダイニング、個別メニューによる非ビュッフェ型のフード提供、膨大な量のスナック類・・・など非常に居心地の良いラウンジでしたが、ここニューヨーク・ターミナル7のラウンジちょっといけてない印象が毎度強いです。

UNITED GLOBAL FIRST LOUNGE

UNITED GLOBAL FIRST LOUNGE

さぁボーディング、今日はANA最新のファーストクラスで帰ります!

ラウンジを出ますと本日東京まで私たちを運んでくれる機材が青空の下に駐機している様子が目に入ります。機材は往路とは異なり「JA795A」であり、この新キャビンモデルとしてはじめて就航した機体を引き当てました(※メディアに公開された機体もこちらですね)。

約10分のディレイがラウンジ内で宣言されていましたので、定刻より10分遅れとなる10時35分「GROUP-1」より搭乗開始です。さっさとキャビンに入りますと、本日の座席が目に入ります。

搭乗時に撮影できなかったので飛行中の座席写真で失礼します。

本日、東京までのフライトはご覧の通り、ANAが2019年8月に導入した最新のファーストクラス『THE Suite』を利用して帰ろうと思います。いやいや、やっとですねコレ乗れるの。ぱっと見の占有面積は前型であるシートと比して、それほど大きくなっていない気がしますが、一目でわかる様に窓側に壁がない仕様の座席となっており、窓塞がれていた旧型と比べると圧倒的な開放感を感じます。

「・・・思ったよりいいんじゃないか?」と思いながら座席に座り、クッションの位置などを整えながらフライトの準備を進めてゆきます。

●ANA新ビジネスクラス・ファーストクラス『THE Room』、『THE Suite』導入に関する速報はこちら!

新ファーストクラス、ビジネスクラスは隈研吾が監修

約10年ぶりの更新となるこのと『THE Suite』(ファーストクラス)と『THE Room』(ビジネスクラス)は「隈研吾」と「Acumen(英)」がデザインしています。ファーストクラスのコンセプトは既報の通り『THE Suite』。「空の上でもホテルで過ごすような時間をご提供したいとの思い」をベースに様々な空間設計が行われた結果、このネーミングとなったそうです。全体的には隈研吾氏が大好きな自然や和の香りを大切にしていまして、木目感や落ち着いた色彩によって空間が構成されています。・・・ビジネスクラスの木目感推しに比べるとファーストクラスコンパートメントの外壁は「コンテナ風?」なツルっとした素材でまとめられており、色調も独特なグレーブラウンといった雰囲気です。豪華という印象よりは、ちょっとモダンなデザイナーズホテル的触感ですので、この辺のまとめた感は隈研吾氏というよりもアキュメンの力が強い気がしています。

ANA Official Photo

シートメーカーはジャムコ、シートクッションや寝具は西川が担当

「サフラン・シーツ(旧ゾディアック・シート・フランス)」製だったビジネスクラスに対して、ファーストクラスは日本メーカーである「ジャムコ」製となっています。基本コンセプトを同じくして、細部が異なる座席がホノルル線に就航している「Airbus-A380(フライング・ホヌ)」にも採用されていますので、様々な旅ブログの『THE Suite』搭乗記は「A380のファーストクラス」を取り上げていることが多い印象です。

PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

航空機シート製造メーカーはあまり詳しくないのですが、ファーストクラスに使用されている「ジャムコ」は世界第4位のシートサプライヤーであり、過去も多くのスペシャルな座席を提供してくれていましたが、このファーストクラスでも過去のノウハウをフルの投入して開発された感を感じられるものでした。

【航空機シートサプライヤー・グローバルランキング】

1位   コリンズ・エアロスペース(米)
2位   サフラン(ゾディアック エアロスペース)(仏)
3位   レカロ(独)
4位   ジャムコ(日)他

こちら、航空機シート納入企業に関する詳しいブログがありましたので、ぜひそちらをお読みください。非常に簡潔且つ、豊富な情報でまとめられています。

更に、シート骨格はジャムコ製ですが、これに組み合わされる「シートクッション」に関しては寝具メーカーの「西川」と共同開発しているようです。ですので、シートを倒してそのままゴロゴロしていても体圧分散や蒸れなどに関しても計算されており、非常に居心地が良いのが特徴です(これは体験により確認済み)。

新機材は2019年8月導入、今後も一気に機材保有数を拡大へ!

この『THE Suite』と『THE Room』を乗せた新機材は2019年の8月に「羽田―ロンドン」に初導入され、以降2019年10月27日からの冬ダイヤでは追加で「ニューヨーク」、「フランクフルト」路線にも導入されています。今回私が乗れているのも、この冬ダイヤで「ニューヨーク」線に機材が回ってきたからなんですよね、有難いです。ANAの発表によりますと、新機材は2021年までに12機体制を目指すとされていまして、先日私がシカゴから乗りました「ANA StarWars Jet BB-8」も今後改修され、新シート機材となるそうです。という意味で私は旧シート時代の乗り納めにかなりタイミング良く遭遇したということになりますね。

●ANA StarWars Jet BB-8で日本まで!シカゴ発ファーストクラスの旅、はこちら!

旧型と同じく「1-2-1」配列のゆとりのある空間を提供

・・・ぱっと見では、これまでのファーストクラスの方がウッディであり、『THE Suite』はよりモダナイズされた印象が強いキャビンの雰囲気です。「1-2-1」という従来のファーストクラスのアブレスト(配置)を踏襲してはいますが、ついにドア付き個室型となり、プライベート空間がより強く確保されるようになりました。・・・しかしながら新キャビンではビジネスクラスも「1-2-1」というアブレストを使用していますので、ファーストクラスのアドバンテージは多少削がれたようにも感じられますが、実は圧倒的なフットスペースはさすがファーストクラスであり、座席に座った時の開放感はビジネスクラスの比ではありません。座席数は「8席」と、これまた従来通りであり、スタッガード時代に比べ4席減したビジネスクラスとは異なっています。また、新機材のシート数は「4クラス212仕様(F:8、C:64、PY:24、Y:116)」とのことです。

巨大な43インチモニターに驚く

座席に座って一番最初に驚く、といいますか「おぉ!」と思うのは「4K / 43インチ」化されたモニターです。前方視界全面に渡って巨大なディスプレイが広がっており、さすがにこの大きさのインパクトは絶大です。想像以上に美しく、そして違和感なくインストールされていますので、あたかも高級な家具かのように目の前に高精細なウエルカムメッセージが表示されています。

先に『THE Suite』として就航していたフライングホヌ(A380)の座席に備わるディスプレイは「4K / 32インチ」であり、43インチのボーイング777新造機より全然小さいんですよね。より豪華、よりインパクトのあるファーストクラスはこちらのボーイングに備わっている座席ということになるかと思います。上下の写真を見比べていただくと枠ギリギリまで拡張されている「43インチ」仕様の迫力に気づいていただけると思います。

こちらがA380 / フライングホヌの32インチモニターです。(Photo by Aviation Wire)

見ていただけばわかる通り、二枚上のB777新造機の43インチは枠いっぱいに。そして直上のA380の32インチモニターは結構枠を残しています。肉眼で見た際のインパクトの差はかなりあると思いますので『THE Suite』の真髄を楽しみたい方はB777新造機/改修機のファーストクラスを利用されることを強くお勧めいたします。

これ以外の細かい相違点として、A380のファーストクラスシートに備わるAVODのコントローラーは液晶がそなわらず簡易なボタンだけの仕様となったかなりショボいコントローラーが付いていますので、この辺も地味〜にイケてないなぁ・・・と思っちゃったりします。

座席に座りつつ、機体の外へ目をやると「アラスカ航空」の特別塗装機である「Boeing737-900ER / More to Love」が駐機しています。ボルドーとネイビ-で塗り分けられた非常に美しいカラーリングの機体でしたが、残念ながら太陽の方角が悪くあまり明るく撮ることはできませんでした。上下に伸ばされたウイングレットであったり、超最新鋭の737ですね!個人的にB3はとても好きな機体なので、これからも長く空を飛んでいてほしいと思っています。

ほぼ全ての旅客が搭乗を終える頃、機内ではウエルカムドリンクが提供され始めます。ファーストクラスではガラスのグラスで提供されますので、よりガラスの冷ややかな感触を含めリラックスしてウエルカムドリンクを楽しむことができます。・・・こういうちょっとした触感の差ってプレミアム性の演出には欠かせませんので、是非ビジネスクラスもガラスに戻してほしいところです。写真をご覧いただければ分かる通り、ファーストクラスのシートは大きなコーヒーテーブルは備わっていませんので、地味にこの辺の使い勝手はもう少し検討した方が良かったんじゃないのかなぁ・・・と思います。この点においては新しいビジネスクラスの方が物置・・・という視点において優位かな?と思ってしまいました。

ドリンクを飲んでいるとそろそろ出発時刻のようです。機外には多くのアラスカ航空機や、遠くに見えるラウンウェイにはシンガポール航空の「A380」の姿も見えますね。大きな国際空港ならではのローカル、グローバル入り乱れた機材の様相は飛行機好きにはたまらない景色です。・・・10時53分にドアクローズされ、11時5分には滑走路へ向けタキシングを開始しました。本日私たちを東京・成田まで運んでくれるのは「NH9便(JFK→NRT)」、機材は「Boeing777-300ER(JA795A)」、飛行距離「6,742mile」、予定飛行時間「12時間47分」となっています。

ゆっくりとタキシングしていきますが、快晴ではあるものの分厚い雲が徐々に空港上空を覆ってきており、不安定な天気のはざまの晴れ間という印象です。

私たちを乗せた9便は、11時15分に、ジョン F ケネディ国際空港の「RWY31L」よりGE製「GE90-115BL」エンジンの力強い高周波サウンドを伴って離陸、旋回を繰り返しロングアイランドの上空から五大湖方面へ向け機首を変針させていきます。この左旋回時に眼下に広がる景色は美しいの一言であり、ニューヨークから帰る際にいつも楽しみにしている景色でもあります。新しいキャビンは細かいパーツ同士がこすれある「キュキュキュ・・・」という雑音もまだ少なく、非常に静かで穏やかな時間が流れてゆくのがとても嬉しい限りです。

上昇中雲に隠れつつも、ちょっとだけ先ほどまで生活をしていたマンハッタンの姿が目に入り「また帰ってくるね〜」としばしの別れを告げることができました。ファーストクラスのアメニティはビジネスクラス同様「Globe Trotter」とのコラボ(中身は「The Ginza」コラボ)となっており、アメニティの詳細は以下の記事に詳しく書かせていただきました。

●ファーストクラスアメニティは「グローブトロッター」コラボ!アメニティ解説の記事はこちら!

食事がスタート!広大な空間と剛性感あるテーブルでゆったりと。

離陸後約1時間となる12時過ぎに、食事がスタートします。取り敢えず「梅酒のソーダ割」で喉を潤しながらスターターを待ちたいと思います。ビジネスクラスと同様、ファーストクラスにも「食事用の灯り」がつけられましたので、写真のように斜め奥側からのやわらかい暖色LEDの光を受けることができ、とても写真を撮ることが楽になったのはこれまた「神改善」かな、と思っています。

スターター

復路便では「洋食」を選択しています。まずはおなじみのスターターですが、とても大きなテーブルを前方からスライドして持ってくることができますので食事の際のテーブルセットには高い自由度が出たと思います。・・・またテーブル自体の剛性感が極めて高く、旧型のファーストクラスに備わっていたテーブルのような「少し揺れる感じ」は消え去っており、とても安心感があります。前後のスライドも少し硬めに出来ていますので、食事中に離席する場合や、前後に動かした際に大きく動いたり、勝手に動いたりという心配も一切しなくて良くなりました。これはとても優秀なテーブルの仕組みだと思っています。

スモークサーモンと帆立貝のタルタル パイ仕立て
スモークダックとマンダリンオレンジのピンチョス
ぶどうとクリームチーズのピスタチオボール
チーズペッパーバー

中でも個人的に気に入ったのは「ぶどうとクリームチーズのピスタチオボール」ですね。チーズの濃厚な風味をぶどうの甘みで柔らかくしていて、胃袋を優しく刺激してくれるのが分かります。どれも非常に美味しいお料理でしたが、このピスタチオボールはまた食べたいなぁ・・・という感じですね。

アペタイザー

アペは以下の3種から選ぶことが可能です。

キャビアを添えたパースニップのムース
フォアアグラのテリーヌ ベリーソース
サーモンのリエットとロブスター ライムクリーミーソース

私が選んのは写真でお分りいただけるように「ファオアグラのテリーヌ ベリーソース」です。フォアグラの下にスポンジが敷いてあるんですが、これはもう少し硬いクラッカー系か、ボイルした野菜など別のものの方がより美味しくいただけたかな?とは思うものの、まぁ美味しくいただきました(笑)。

この縦位置写真、新しいファーストクラスの開放感がありつつもプライベートスペースがあり、且つ全体的に優しい光の演出がなされていることを割と切り取った一枚のような気がしています。全体的な雰囲気がかなり「ファーストクラス」という絵になってきましたので、いよいよANAのファーストキャビンも良いレベルに到達しつつあるのかな?と写真を見ながら改めて思いました。

アペ終了後には「ガーデンサラダ」が配られ、一旦胃を休ませつつ繊維質を取り込んでこれから徐々に重くなる食事へ対応をしていきます。機内でまったく動かずに食事をするので結構サラダの提供はありがたいものですし、また青野菜を中心にしたこういう簡素なサラダがとても嬉しく感じる瞬間であり、ビジでも少量でもいいのでサラダを出してくれると嬉しいのになぁ・・・といつも思っています。

通常はガーデンサラダと合わせて最近のANAでは定番となっている「名もなきコーンスープ(勝手に命名)」が出されるのですが、今回私はコーンスープをキャンセルしまして、勝手に胃袋が欲しているものを注文しておりました。

お椀

はい、こちら。

金目鯛と薄氷大根のお椀

です。・・・なんというか、ずーっとアメリカでの食事だったので少し「お出汁味」を胃が欲していた感じがあり、またまた勝手に「洋食メニュー」と「和食メニュー」のフュージョンにさせていただきました。・・・ファーストではこの辺の自由度が高いのでまぁやりたい放題ではあります(笑)。

しっかりとヒーティングされた熱いお椀でサーブされますので、ひと啜り(すすり)ひと啜りが舌や喉、さらには胃に沁みて、極上の気分で癒されていくんですよね。・・・何を言えば「写真に収めるのが結構難しい」ということでしょうか(笑)。

さらに、食べ過ぎなんじゃないか?という感じではありますがメインの前にもう一品「和食メニュー」からご登場願っておりました。・・・はい、「お造り」ですよね。やっぱり日本人、お刺身も食べたいわけです(笑)。これは全く同じものを12月のシカゴから乗ったファーストクラスでも堪能していましたので、その美味しさも理解していましたから再登場!ということでオーダーさせていただきました。

お造り

ハマチ炙り
鮪炙り
墨烏賊焼き霜

ご覧の様に和食の美を感じさせる器とともに提供され、新しい極上のファーストクラスシートの世界感も相まり、今地上1万メートルの上空で食事をしていることも、日本にいないことも忘れ去ってしまうというものです。ファーストクラスの和食は海外搭載でも妥協がないといいますか、日本食として破綻していませんので安心して箸を進めることが可能です。

メイン

メインは「洋食メニュー」に戻りまして、以下の4種類から選択することが可能です。

牛フィレ肉のステーキ ポルチーニとパンチェッタのソース
大鮃のローストとエビのソテー アメリカンソース
バイソンのブルゴーニュワイン煮込み クリーミーなマッシュポテト添え
野菜のラビオリ カレー風味のクリームソース

このうち、「大鮃のローストとエビのソテー アメリカンソース」は前回のシカゴ便で食していますので気になる方は是非ご覧いただきたいと思うのですが、今回・・・お気づきになりましたかね?目を疑うようなレアメニューが提供されているのを。

そうです「バイソンのブルゴーニュワイン煮込み クリーミーなマッシュポテト添え」です。バイソンですよ?一時は絶滅しかけたこの「牛」の一種であるバイソンですが、その後保全活動などが実を結び、現在ではかなり頭数を伸ばしているようで、徐々に食用としても復活してきました。アメリカ国内では「Ted’s Montana Grill」などが有名ですが、まさか機内食でお目にかかれるとはまったく思ってもいなかったので、速攻で注文です(ファーストでこれ頼んだの私だけだったようですが・・・)。

ワイン煮込みされたバイソンは口の中でホロホロと優しく崩れ、あの筋骨隆々なガタイのお肉とは思えないほど柔らかく、そしてお肉の味がしっかりと詰まった素晴らしい一皿です。普段はあまり手をつけることのないマッシュポテトも、バターを少し抑えめにしてありしつこくない味でしたのでワイン煮込みのソースと合わせながらの完食!機内で食べたお肉としては間違いなくほぼトップといっても過言ではないほど美味しいお肉でした。いや、最高かよ!って感じですけどね、4メニューの中では圧倒的な高カロリー料理(笑)、確かにオーダーには覚悟が必要ですね。

●大鮃のローストとエビのソテー アメリカンソースもご紹介しているシカゴ便ファーストクラスの記事はこちら!

食事中眼下には凍った大地が広がり、カナダの上空を静かに機体は通過中です。高度は約30,000ftであり、今後の燃料消費と上空の風の強さに応じて高度を上げてゆくことでしょう。787などですとエンジンの性能が高いため離陸後一気に38,000ft以上に上昇してしまうことが多いですが、世界最大の旅客機用ジェットエンジンを搭載する「Boeing777-300ER」であっても、残念ながら一気に高高度まで上昇してゆく性能は持ち合わせていませんので、まずはこの辺の高度で燃料が減ってゆくのを(=機体が軽くなるのを)待つこととなります。

デザート

デザートは以下の4つが「洋食メニュー」では選択可能です。

アイスクリームのアソート
ブルベリーチーズケーキ
温かいチョコレートケーキ バニラアイスクリーム添え
フルーツ

・・・「アイスクリームのアソート」はこれまた前回のシカゴ線で食べていますね。その際に散々酷評したANAのデザートですが、その酷評通りやはり気が進むデザートではありません。故に、私が選んだデザートはこちらも「和食メニュー」からでございまして・・・

和菓子屋のあんみつ(黒蜜)

にさせていただきました。

「黒蜜かければ大抵何でも美味しい」の法則通りこちらも美味でして、洋食から選ぶよりはベターな選択となったと思っています。・・・機内に入り込んでくる光が猛烈に強くなってしまい、美しい陰影で撮影できていなく申し訳ないのですが、満足なデザートタイムとなり、この後はゆっくりこの新しいファーストクラスを楽しむ、リラックスした時間にしようと思っています。

プティフール

と思ったら、そう言えばファーストはデザートで終わらないんでした。

食後のコーヒータイム用にちょっとした茶菓である「プティフール」が振る舞われますので、こちらと一緒にコーヒーをいただくこととします。

ビジネスクラスより30分ほど長い、約2時間半ほどお食事を頂き、現在は14時35分。コーヒーから紅茶へお供を変え、しばしまったりと過ごさせていただこうと思います。

シートのリクラインニングやベッドポジションなど様々な状態をコントロールするのは窓側のサイドテーブル壁面に設えられたこれらのボタンで操作を行います。ビジネスクラスで新設されていた「食事ポジション」がファーストクラスにはありません(なくても自然な姿勢で食事ができるため)。写真を撮るのを忘れてしまっていますが、このシート調整スイッチの真横に「AVOD」コントロール用の液晶タッチパネルが配置されておりまして、下に貼らせていただきました「A380」の簡素な操作系統とはまったくことなる現代感を醸しています。尚、この「AVOD用コントロール」はビジネスクラスのものと同じであり、似たようなものは「シンガポール航空」でも採用されています。

A380は液晶画面なしです(Photo by Travel Watch)

新ビジネスクラスのコントロール(ファーストも同じものが付いています)

シンガポール航空ビジネスクラスのコントロール(ご参考)

リラックスポジションにした際のファーストクラスシート全景の雰囲気はこんな感じです。ついにファーストクラスキャビンっぽい空間と、これまでのファーストは絶対失敗作だったでしょ?と感じるほどの開放感(=快適性)を持ち合わせています。必要以上にゴタゴタせず、自由に空間を使いながら、それでいて他人に干渉されることがないなかなかに極上の空間です。・・・ビジネスクラスが圧倒的に進化した一方でファーストクラスはスペース的な目新しさはないのですが、快適性、プライバシー、落ち着きという意味では圧倒的に進化しており、個人的には非常にこのキャビンは気に入っています。・・・もちろん、さらなる個室感やエミレーツやシンガポール航空などにある「スィートクラス」の極上感(というよりファーストより上のクラスの座席ですよね)の追求はANAにも求めたいところですが、まずは生まれ変わったファーストクラス、これ結構素晴らしいと思いますよ?

さらに『THE Suite』の名の通り、サイドのドアを閉めきった状態にすれば完全なるプライベートな個室となり、ビジネスクラスと異なりドアも完全に締まりますので隣の旅客の雰囲気など1mmも気になることはなく、ドアを閉めてしまえば完全に自分の世界としてこの「スイート」を使い倒せます。

圧倒的個室感のキャビン風景をご紹介!

ANAの新ファーストクラス『THE Suite』は、ANA初のファーストクラスシートにドアがついた「完全個室」がウリとなっており、「空の上でもホテルで過ごすような時間をご提供したいとの思い」との開発コンセプトがあるほどの極上空間を前面に押し出してきている最上級クラスです。・・・さぁ、この個室感がどの程度のものなのか、簡単にご紹介をしようと思います。

横のドアを閉めきるとこんな感じです。隣の座席のドアを外側から撮影していますが、隙間がありませんので「まったく他の座席の中を窺い知ることはできません」。旧型のファーストクラスは座席越しに他の座席の方のお姿が多少見える瞬間はありましたが、今回の座席は締め切ってしまうと「完全なる個室」でして、寝ているのか起きているのかすら判断がつかないほどプライバシーのレベルは高まっていると思います。徹底的に機内で寝倒したい、あまり他人に姿を見られたくない(著名人、芸能人、政治家とかね)方なんかにはもってこいの座席ですよね。

また、ファーストクラスはビジネスクラスとは異なり、ドア開口部が体の前方にありますので「アップライトポジション」の段階で他人が視界に入りません。ビジネスクラスはドアを閉めない限り隣の方の姿がず〜っと視界に入り落ち着かない部分があったのですが、ファーストクラスはこの点においてもプライバシーが保たれており、非常に居心地が良いのが特徴です。前の座席との間にカーテンを閉めることができるようになっていればさらに最高かもしれないですね。

座席前方からの景色をご覧いただきます。ご覧の通り圧倒的な占有空間を持っていますので自由自在に過ごすことができます。座席幅自体は構造の違いもありビジネスクラスの方が広いのですが、座っていて狭さを感じるような小さな座席ではありませんので体の大きな方でもまったく問題はないと思います(当然ですけど)。またこの写真でもわかりますが、やはり「窓3つ」が塞がれていないのはとても大きいと思います。素晴らしい開放感!画面を前面の機体カメラ映像にしておけば、3つの窓の景色とモニターの景色で大空を飛んでいる気分をふんだんに体感し、楽しむことができると思います。

アンビエントライトはビジネスクラスのように「ブルー」を基調としたものにへ変更できず、すべてアンバーのカラーで展開されます。また、画面下がぼんやり光るなどの仕込まれた間接照明もないため、照明デザインという意味ではビジネスクラスの方が色っぽい空間を提供してくれますが、ファーストクラスは最低限の照明により「使い込んだ書斎」のようなどことなく懐かしい、落ち着いた空間で過ごすことができます。懸念された超巨大モニター(43インチ)も、明るすぎることはなく(自動で調光されているのか?)、全く自然に「ただただ大きくて鮮明な画面」を楽しむことができました。ナイトモードの機内もちゃんとファーストクラスに必要な「十分な暗さ」を維持しており、しっかりと休息を取りたい旅客を妨げない様に、計算され尽くされていた印象です。

尚、ざっくりとした座席周辺の機能やコメントは上記の通りです。ごちゃごちゃしていますが、ご参考まで。

(悲報)ウインドーシェードが壊れる

窓の外ではそろそろ太陽が地平線の下へ潜りそうで、機外も夜を迎えそうな時間です。機内も徐々にナイトモードへのシフトが始まっており、ファーストクラス内部も黙々と映画を見る人、パジャマに着替えて眠りにつく人・・・とファーストクラスならではの静寂が訪れています。私も環境を暗くして、映画を見ながら一眠りしようか・・・と思ったのですが実は離陸時にCAさんより伝えられていた一つのことを思いだします。

 

「NOLI様、お客様の窓のウインドーシェードが故障しておりまして・・・」

 

そうです、私の3つある窓のうち中央の窓の電動シェードがいきなり壊れていまして(笑)、個別操作では閉まらないとのことです。故に、眠る際は窓を塞ぐパネルを用意するので行ってくれと言われていたのを思い出しました。・・・電動シェードにしたばかりの新造機なのに、いきなり故障ってのはややこのシェードの信頼性・・・怪しいのでしょうか(笑)。

ということで、早速CAさんにパネルを取り付けてもらったんですがね・・・これ、

 

めっちゃ光漏れてるや〜ん!

 

って話ですよ(笑)。まるで日環食のように、パネル周囲からまばゆいばかりの外光が降り注いでおりまして、ぜんぜん暗くならないんですねぇ。完全に外が暗くなるまでは半夜状態で過ごさねばならなさそうです。もう少ししっかりしたパネルをボーイングも用意しておいてほしいものですが、アメリカ企業のやや雑な部分を見た気がします。

パネルは貼ってあるだけ

ご覧いただければわかると思いますが、プラスティック材でできた窓の形をしたパネルは、地味にこれ「ただ裏側の両面テープで窓に貼ってあるだけ」なんです。パネル表面にもちゃんと「In the Event of Electric Shade Failure, Remove Backing From Self Adhesive Tape Apply Shade to Electrical Shade Being Covered」と書かれますので、普通に「裏の粘着テープを剥がして窓に貼れ!」って正しい使用方法な訳です。

ただ、残念なことにこの「粘着テープ」が弱々君でして(笑)、しばらくするとビロ〜ン・・・とパネルが剥がれてきて、私の個室が真昼間に変貌するわけです、えぇい!眩しいわ!!!その度に私がパネルを再度押し付けて暗闇を取り戻すのですが、仮眠中にいきなり明るくなったりするのでかなり煩わしかったんですよね。

ということで、久しぶりにファーストクラスなのに「アイマスクつけて寝る」っていうね。マジでここぶっ壊れるなよ・・・と。で、どうやら私が寝ている最中にもパネルは剥がれたようで、起きてみると裏側に大量の養生テープが貼り付けられており、CAさんが応急処置をした痕跡を見つけることができました。いやぁ、どうもありがとうございます。

ま、そんなこんなで皆様が搭乗する際にもこのパネル君に出会うことがあるかも知れませんが、剥がれやすい際は裏側にテープを追加してくれ!とCAさんに頼んでみてください。私は起き抜けにコーラを飲みつつ、このパネルの改善方法などを無駄に考えて過ごしてしまいました・・・(汗)。

肝心のファーストクラスの寝心地は?

肝心の寝心地ですが、申し訳ないことにベッド状態の座席は写真に納めていません。

ANA Official Photo

まぁ、ベッドにするとこんな感じなのですが、レポートするだけ野暮だろうっていう位「当然ですがめっちゃくちゃよく寝れます」。・・・まぁ、そうですよね、ファーストクラスでよく寝れなかったらどこで寝るんだよ?って話なので。旧型のファーストもとにかく安眠仕様で、広くて長いフルフラット状態のベッドは旅の疲れを全て吸い取ってくれるんじゃないか、というほど快適に睡眠が取れる座席でしたが、新型の『THE Suite』では更に快適性及び、個室となったことによる謎の安心感がたかまり「本当〜〜〜に、よく眠ることができます」。飛行機の中でフカフカの布団で眠るのはここまで気持ちが良いのか?という話で、是非体験されていない方は一度はファーストクラスで眠ってみることをお勧めします。ボタン配置や、照明の設置位置も適切で眠って起きると一瞬機内にいることを忘れてしまうほど質感の高い灯りとクッションの反発が全体を包んでくれるいることに気づかされます。

到着前の食事はバラちらしをオーダー!

NH9便はカムチャツカの上をFL360(約36,000ft)で順調に飛行中です。外界の短い夜も明け、軽く明けたシェードからは明る日差しが漏れてきています。・・・使い込んだ書斎で朝を迎えたようなブラウンを基調としたインテリアを優しい光が包んでいる様子はとても落ち着くものであり、新しいファーストクラスの居住性がピカイチであることを物語っています。

どうやら位置情報的に私が現在飛んでいるのは「ペトロパブロフスク・カムチャツキー」の上空の様ですね。このペトロパブロフスク・カムチャツキーは、ロシア連邦極東連邦管区カムチャツカ地方にある、人口19万8千人ほどの都市の様です。位置的には「へぇ・・・」と思ってしまいますが、不凍港だそうで一年中運用が可能だとか。残念なことに、ロシアの他の都市と連絡する陸路はなく、生活物資の輸送や産業活動の展開は海路と空路に完全に依存する必要があるそうです。

アヴァチン火山(Photo by 世界遺産プラス)

もちろん、カムチャツカ半島は環太平洋造山帯の一部なので、街の北部には2008年に噴火した「コリャーク火山(コリャークスキー、標高:3,456m)」、北東には2001年に噴火した「アヴァチン火山(アヴァチンスキー、標高:2,742m)」が聳えています。コリャーク火山も、アヴァチン火山も美しい形状をしていますし、高さも富士山に迫る高峰ですので一度観光として写真に納めに行ってみたい街です。

一瞬シェードを開け外界をのぞいてみると、眼下には数多の流氷が漂っており、これらの一部は北海道東岸などに流れ着くことに想いを馳せると自然の世界のダイナミックさを改めて感じざるを得ません。なかなか快晴で海面を見ることができないエリアですが、この日は雲の切れ間が多く天候が悪いことで有名なこの区域の景色を奇跡的に楽しむことができたのはラッキーでした。

到着前の食事には「バラちらし」をオーダーです。コース料理を食べる程お腹は空いていませんでしたので「軽食」として用意されていた「海鮮バラちらし丼」に「お味噌汁」を追加して、軽めの和食をとろうと思います。ご覧のようになかなかの完成度で、アメリカ食に慣れた胃には十分な「日本の味」を恵みを届けてくれました。前回のシカゴ便の際には「鶏ささみと叩き梅のお茶漬け」を頼んでいましたが、やはり到着前は軽めの食事で済ますことが私のルーティンの様です。

ビジネスクラス利用時は多くの場合「シリアル」+「ヨーグルト」+「フルーツ」のパターンをオーダーしている気がします。アメリカンブレックファスト的なシンプルなトーストとスクランブルエッグ的なものなどがあればよりカジュアルな朝食を楽しめますので、バリエーションが広がることを楽しみにしたいと思います。

もう一度外に目をやれば、相変わらずの流氷に加え、少しだけ雲が増えてきた様です。この後は徐々に変針し、ロシア領土からオホーツク海を通り北海道へエントリー後一気に最終目的地成田までの時間が始まります。フライトマップではもう残されたフライト時間がわずかであることが読み取れますし、残念ですがこのゆったりしたファーストクラスを楽しむ時間もそう多くはなさそうです。

いよいよ成田へのランディングシークエンスが始まります

もう一度シェードを閉め、空間を暗くした後は北海道を超えるあたりまでコーヒーを飲みながらまったりとすることとします。軽食やお菓子など様々なデマンドをCAさんが聞いてきてはくれますが、もうお腹いっぱいですので飲み物があれば十分です(笑)。ただ真っ暗にしても、目の前にある43インチのモニターには機体前方の風景が出続けていますので太陽さえ出ていれば外の景色の状態がわかりますので安心してシェードを閉めることができる様になったのも新造機のAVOD(機内エンターテインメントシステム)の神アップデートと言えると思います。

気づけば窓の外には網走の街が広がっていました。見渡すの限り雪景に覆われ、いかにも低気圧を感じさせる雲が大地を隠しています。地表では雪や風の強い場所があるのでしょうが、上空はいたって穏やかな大気となっており、私が乗っている機体は揺れることなく高度を維持しています。

機体はいよいよ苫小牧を超え、ここから先はおなじみの国内航路となっていきます。到着までおよそ1時間ちょいとなりますので、エコノミークラスなどでは既に着陸に向け準備が始まり慌ただしい時間帯となっていることでしょう。機内のシェードは全て解放され、CAさんたちギャレークローズに向けた作業、そして旅客も荷物を整理し寝ぼけた頭を着陸に切り替えてゆく時間なのですが・・・

ファーストクラスの同じ時間帯はまだ「夜」です(笑)。ギリギリまでファーストクラスパッセンジャーの疲れを癒すのが目的のサービス体系ですので、ベルトサインが付き、着陸のチャイムがなるギリギリまでサービスは続きますし、機内もそれぞれの時間の過ごし方が優先されます。当然まだ個室のドアは閉めきっていますし、私もまったりとコーヒーを飲みながら読書タイムです。雰囲気から感じる限り、他の旅客もまだゆったりと過ごしている様で、なんらファーストクラスキャビンにはざわついた着陸前のソワソワした感じは漂っていません。

ちなみに、座っている座席の右側にはブックシェルフが備わっていて、ここに食事のメニューなどを格納しています。写真では隣のコンパートメントのドアが締め切られているのがわかりますよね。本当に意識しなければファーストクラスキャビンに何名乗っていたかすらわからないほど、他の旅客との干渉のない空間です。 この日は珍しくファーストが混んでいまして、全8席に対し乗客は7名搭乗していました。後ろのビジネスクラスもほぼ満席だった記憶があります。

23時54分(日本時間:13時54分)FL360からいよいよ降下開始(Top Of Descend)です。この頃になりますと、各座席に預けていた上着が返却され、到着に向けての準備を促されます。全てのファーストクラスパッセンジャーはこの降下開始前にCAさんたちから「到着に向けた着替え」の時間調整のヒアリングを受け、それぞれが重なることなく配布されていたパジャマ(持ち帰れます)から私服へ着替え、身なりを整えます。私も最初は違和感がありましたが、慣れてしまうと圧倒的にこのパジャマに着替える方が体が楽なので最近は着替えることが多いですね。

ビジネスクラスでもカーディガンを支給してもらえますので、このカーディガンに着替えてしまうと上着にシワがつくのを防げますし、何より身体への締め付けが減ったりしますので、その日の服装にもよりますがカーディガンをいただくことがとても多いです。尚、ビジネスクラスのカーディガンは「持ち帰り禁止」です。

24時06分(日本時間:14時06分)に着陸の最終進入が始まったことを示す4点鐘が機内に響きます。外の景色は既に房総の海の風景であり、既に西日気味な色味を世界が帯びています。

特にホールディングもなく、迂回もなく、スムーズなアプローチコースを通ってどんどん最終目的地へ近づいています。地上付近にも低い雲があり、またそれらが薄い層として広がっていますので景色は全体的に靄(もや)がかかった様なスッキリしない眺めではありますが、とても見慣れた九十九里の海岸線を眺めながらのファイナルアプローチです。14時25分にコスモポイントを通過しギアダウンが行われます。時を同じくして地上の風の成分が混ざり始め、機体は上空の静穏な空気の流れとは打って変わり右へ左へ、上へ下へと体が揺さぶられる到着前最後のショータイムが始まりました。

ありがたいことに目の前の大画面で到着の様子を見ることができますのでファーストクラスの座席は最高のエンターテインメントです(笑)。景色だけで着陸滑走路は「34R」であることもわかりますし、現在の進入角が適切であることも画面の中の「PAPI」の表示を見て知ることができます。・・・いやぁ、でも短いなぁ成田のB滑走路。幅だけ高規格の60mで作られていますので余計短く(視覚的には)見えてしまいます。これが田舎の45m幅の滑走路ならもう少し細長く見えるはずなので、長さを感じるんでしょうけどね。元々2,160mという「どうすんだよ、これ・・・」的な短い滑走路として始まったB滑走路ですが、現在は延伸され2,500mの運用です。しかしながら大型機や長距離便が多い国際空港の滑走路としては全然短いですよね。お隣のA滑走路は4,000mですのでこれは国際規格だということが出来ます。

一方「羽田空港」の滑走路は最長のものが「C滑走路」の3,360mであり、地味に短いんですよね。「B・D」滑走路に至っては上記で「短い」と表現した成田B滑走路と同じ2,500m x 60mです。離陸してきたJFK(ニューヨーク)空港には最長4,442mの滑走路がありますし、フランクフルト空港は4,000mが3本備わっています。・・・地味に先日の記事でもあげています沖縄の「下地島空港」は離島とは思えない3,000m x 60m の素晴らしい滑走路を持っているんですよね。・・・豆知識ですが世界最長の滑走路はアメリカの「エドワード空軍基地」にある「RWY 17/35」となっており、なんとその長さは「11,909m」!長さ11キロです(笑)。・・・国内で4,000mの滑走路は「成田空港」と「関西国際空港」で運用されています。

成田はどうやら雨上がりの様です。確かに遠くには降雨を伴っていそうな雲が広がっていますが、もうちょい太陽が低い時間帯だったら絶景だろうなぁ・・・という景色を眺めていると、とてもスムーズに成田空港「RWY34R」へランディングです。滑走路が短いので強めのスラストリバース(逆噴射)を使用し一気に減速をすると、ゆっくりながらも大急ぎで到着スポットに向け移動を行い、長かったフライトが終わりを告げました。

フライトタイムは13時間16分、この時期としてしてみれば優秀ですよね。個人的には14時間超えや、向かい風が強すぎて燃料が足りなくなる(途中給油に一回どこかに着陸する ← テクニカルランディングって言います)なんての一度は経験してみたいんですが、私が乗ると大抵平穏に帰り着きましてね・・・。

これまでのファーストクラスも快適なものでしたが、よりプライベートスペースとしての利便性が高まり、同時に窓席での開放感は圧倒的なものとなることでなかなか最強のファーストクラスになって帰ってきてくれました。もちろん海外の航空会社の「Suite Class」の様なより個室感の高いもの、シャワールームが付いたものなど上にはキリがないことは確かですが、現在のANAの体力という意味では予想以上のニューシートを提供してくれていると思われました。これまではビジネスクラスが快適でしたので敢えてファーストクラスに乗る意味を感じない(私はあまりワインを楽しめる人でもないので)ことが多くありましたが、この新しいファーストクラスは「過ごしている時間の質が極めて高くなった」という点で、座席の優位性という部分だけでも選択する価値があると感じさせられましたので、今後はできる限り積極的に利用していこうと思います。

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もちろん機内サービスのより一段の進化や、チェックインから降機後の荷物ピックアップまでの地上体験の洗練などまだまだ課題はあるかと思いますが、この辺の革新も楽しみに次のフライト、その次のフライトを楽しんでいきたいと思います。・・・残念ながら執筆段階における世の中は「COVID-19(コロナウィルス感染症)」の世界的な影響により「旅を楽しむ環境」でなくなってしまっています。当然私の諸外国への渡航予定もキャンセルが続いていますのでブログのネタとなる素材を収集できない状態が続いていますが、1日も早く多くの方々の安全と、世界的な経済の回復、そして全ての人々が前向きに明るい展望をもって暮らせる毎日が帰ってきてくれることを祈っています。

渡航時には現在のニューヨークの様な状態になるとは全く想像すらできず、現地での時間を楽しんでおりました。また元気で活力に溢れ、クリエイティブな刺激に満ちたマンハッタンを訪れることを楽しみにしたいと思います。

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尚、このファーストクラスを利用して日本へ帰ってきた様子をイメージフィルムとして簡単に編集していますので、よろしければお楽しみください。空港から飛行機内部、記事でも言及しました流氷の姿など、映像で見ていただくとまた違った味わいもあるかと思いますのでどうぞ!

ではまた!

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