とある3月の下旬、所用で沖縄へ行くことになったのですがちょっと色気を出しあえて乗り継ぎで行くという遊びをしていたことを思い出しました。その時の便は「8:20発のANA673便」で「羽田→広島」を飛び、広島で軽く昼食を取ったのちに再び「11:35発のANA1861便」で「広島→沖縄(那覇)」を飛んで目的地に入るという計画でした。
何を血迷ってそんな非効率なことを・・・。
と思われる方も多いでしょう。しかしながら「飛行機マニア」ってのは時にしてこういう意味不明な旅程を組みたがるものです。これはもう「ロマン」と言っても過言ではありません!・・・なので生温かく見守ってください。
で、本日の記事はそのフライトがどーたらこーたら、という普段の記事を書く気はあまりありませんで「羽田→広島→那覇」の2便が両方とも「Boeing767-300」だったので、ANAが保有する767の比較をしてみようか・・・というつまらん趣旨です。
まず羽田から乗るのは「Boeing767-300」の旧型とも言える「JA8579」。といってシップナンバーから情報を確認してみると登録は1993年。予想より新しいですね。「-300」の初号機である「JA8256」は1987年導入であるので、以降5年くらいで導入された初期の767はもうほぼ退役となっている様で、寂しいものがありますな。って言ってももう23年も前から日本の空を飛んでいる超ベテラン機になるので、そろそろその役目を終えることでしょう。
ま、そんな「旧型」の767でまずは広島へ向かいます。
機内は「ザ・オールドスクール」でございまして、近年のキャビンでは見かけなくなった「角ばったストウェージ(荷物入れ)」で瞬時に判別できます。液晶モニタは改修により後から設置されたもので、昔は大きなプロジェクタがぶら下がり、キャビンの仕切りとなる壁(バルク)部分のスクリーンにのみ映像が写っていました。
古臭いですが、嫌いじゃないです。
座席は新型のものに換装されていましたので、古めかしいキャビンの印象がこれでずいぶんと現代風に変貌しています。たいして飛行機に興味のない人であれば、この機に乗った際に「23年前の機体だ」なんて夢にも思わないでしょう。
加えてどうです、この23年の歴史と空の旅の原点を思い出させてくれる味わい深いトイレのシンク!磨き続けられたことにより美しく摩耗した金属の鈍い光がたまらなくそそります。
今はもうほとんど見ることができなくなったお湯、水を出すスイッチの造形。遥か昔学生の頃に国際線で旅する時に真っ暗なキャビンを抜けたどり着いたトイレでよく見ていた雰囲気が思い出され、なんともいえない懐かしい気分と、プラスチックの多くなった現代機の内装とは違った重厚な、そしてある種のインダストリアルデザインとして極致をこんな場所で見せてもらっている気分になります。
現代では「キャビンアテンダント(CA)」と呼ばれる彼女たちも、昔は「スチュワーデス」と呼ばれていた時代がありました。その名残がここには見事に刻まれているわけですが、この時代から海外では「ATTENDANT」と呼ばれていたあたり、ガラパゴス日本の面白さですよね。
もちろんこの灰皿も開いて使用できます(使っちゃいけませんが!)。いやぁ、古いB6のトイレってたまらない歴史遺産ですね。おそらく現代化の改修がそれほど進んでいないコックピットにも様々な時代の遺物が残っているのだろうと思われます。(※全機改修されたのかは知りませんが、航空機の多くは誘導信号に乗って着陸する際の誘導信号情報を計器上に表示する”FLIGHT DIRECTOR”という機能があるんですが、オールドタイプの767はその表示方法が現代機の標準である”クロスポインター式”じゃない点も飛ばす側としては大きな違いとなっている様です。)
そんなこんなで「トイレを楽しむ変な人」として広島まで愉快に飛んだ私は、無事「RWY10」へ着陸し、昼食を取ります。
その後第2レグとなる「広島→那覇」へ搭乗すべく外に機材を見やると、今度は「新世代」の767が出発準備を行っていました。シップナンバーは「JA607A」・・・あれ?ってことはこれは「-300」じゃなくて「-300ER」、つまり国際線仕様機じゃーないですか。しかしながら販売されていた座席配置は国内線仕様です。
どうやら元々国際線仕様で世界カ国を飛んでいたこの機材は、近年の「Boeing787-8」により近・中距離国際線の機材代替により飛ぶ空を奪われ、退役までの期間を国内線仕様として過ごすことになった様です。
国際線機材というと最近では下の写真の様な「ウイングレット」付きの通称「新造機」が有名ですが、ウイングレット無しのERは今後どんどん国内で余生を過ごすことになるんですね・・・、一つの時代の終わりに立ち会っている様で寂しい気持ちになります。
ほぼ定刻で広島空港は、到着時とは逆の滑走路である「RWY28」から西側へ離陸し、一路沖縄を目指します。「ANA1861便(HIJ-OKA)」、機材は「Boeing767-300ER(JA607A)」です。
風があり離陸時はだいぶ揺れましたが、広島は快晴です。この後のエンルートでどんどん雲が増えまして、残念ながら到着地那覇の天候は雨なんですがね・・・。
さて、この新型の767は先ほどの旧型とインテリアがだいぶ異なっています。せっかくですので、先ほどの旧型のインテリアを再掲し、今回の機材と比べてみましょう。
だいぶ違いますよね(笑)。新型は様々なパーツを「Boeing777」のデザインスキームを活用してリニューアルしていますので、空間の作り方はまんま777なのです。より曲線的で天井高を高く感じさせる造形に変更し、ホワイトの強い素材を活用することにより室内明度を高めることに寄与させています。あと、荷物入れの容量がデザイン、開口方法などの見直しにより大型化している点も異なります。
座席も先ほどの旧型についていた座席よりさらに新型となるものがついています。背面がホワイトの素材でできていますので、機内の明るさがさらに高くなり、とても清潔感のある雰囲気作りに役立っている印象です。
あ、新型はとくに面白いトイレではないんで、今回は撮影してないですよ(笑)。そのままコーヒーを飲んで少しぼーっとすれば那覇付近まですぐです。窓の外はあいにくの雲一面模様。下界の様子が見れないばかりか、降下を始めれば雲に入ってしまい一面グレイアウト・・・何も見えません。
雲を抜けてもそこが南国パラダイスの沖縄か?!と二度見してしまうほどの絶望的な景色(笑)。最終進入の際はリーフや、外洋の紺碧がキラキラと輝いて普段は最高にテンションあがる時間帯ですが、この日はご覧の様なとても残念な景色が広がっています。
到着直前にいつも見えるエメラルドグリーンの内湾もギリギリ「エメラルドグリーン」だってことはわかりますが、輝度が足らず(笑)。なんというか、淡々と沖縄到着です。
直航便でくれば2時間半でこれる工程をわざわざ乗り継いで5時間半かけてやってきた沖縄。ムダっちゃームダですが、期せずして767乗り比べが出来ましたのでよしとします。当たり前ですが、機内からは「-300」「-300ER」の乗り心地の違いは全然分かりませんので、こうやってブログにすることで初めていろいろな機材の歴史に思いをはせることができるんですよね。
興味のない人にとっては本当に今回の記事はどうでもいい記事になっちゃいましたが、まぁこういうところにマニアってのは喜びを感じて日々飛行機に乗っているんですねぇ(笑)。
もちろん沖縄も楽しみましたよ!
存分に沖縄を楽しんだ後は「当然ですが直航便」で帰ります。今は、那覇空港も2本目の滑走路埋め立てなど急ピッチで拡張工事が進んでいますので、いたるところに重機の姿が確認できます。あと数年すると南国リゾートの入口、そして離島リゾートへの一大ハブ空港としてリニューアルしてゆくのでしょうね。
JTAのジンベエジェットが見れたり、那覇の独特の空気は年に数度吸いに行かないと気が済みません。
また近いうちに遊びに行こうと思います。
ではまた!
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【コメント・メッセージ】
気が付いたらこの記事を本職のパイロットの方に拾われて話題にして頂いておりました(笑)。「え、675→1861ってシップチェンジするの?」という話題だったのですが、私が乗ったのは「673→1861」、1便前だったんですね。
逆に、羽田発広島行きの675便経由で沖縄(1861便へコネクション)への旅程を組むと、羽田から沖縄までセイムシップ(同機材)で行けるという事なんですね。
逆に知らなかったのでちょっと勉強になりました。
どこで記事が拾われて話題にされているか分からないので、ちゃんと文章を書かねば。。。(汗)