さて、フランクフルトの興奮醒めやらぬ同月後半には次の旅が始まります。
今回はANAの「ミュンヘン線」を活用しての最終目的地は「ブリュッセル」です。ブリュッセルには数ヶ月前に訪れてはいますが、期せずしてよく訪れる土地となってしまった様です。・・・前回のブリュッセルはフランクフルトからのコネクションで入っていますが、今回はミュンヘン。微妙に違えど、まぁ結構似た様な工程ですね(笑)。
実はこの旅程、ANAのブリュッセル直航便の就航を数日後に控えていた時期でしたので、この街へ入るためにコネクションフライトを使用する最後の旅としても考えられます。
少しゆっくりと朝の時間を過ごし、本日は車で移動せず気分転換にリムジンバスで羽田空港へ入ります。ファーストクラス用のチェックインカウンターでさっさとチェックインを済ますと、これまた専用レーンを使用して手荷物検査を受け、必要なものだけをささっとDUTY FREEで購入したらそのまま「SUITE LOUNGE」へ進みます。
半個室の座席を確保し、なんとなくテレビを見つつ簡単な昼食をいただきます。SUITEですと料理の種類も豊富ですので気分に合わせて欲しいものをつまめますね。もちろん、出発前の儀式とも言える「ANAチキンカレー」は外せませんね。これは有名な話ですが、出発前のラウンジカレーといえば「JAL」の専売特許でした。それに対抗してANAラウンジでも提供が始まったんですよね(笑)。似た様な時間帯にJAL便で出発する同僚のFacebookにも「JAL」カレーの写真が上がっていましたので、似た様な場所で似た様な事をしているなぁと思わず笑がこみ上げます。
ミュンヘン線の搭乗は結構久しぶりな気もしますが、最近のANAはドイツコネクションを作る際の選択肢が豊富でとても使い勝手が良いですね。タバコを吸う私としては、コネクション中に自由にタバコが吸えるという意味で、喫煙室が豊富なドイツの空港のコネクションは最も優先される選択肢となっていますので、かつてのフランク以外にも選べるというのはとても重要です。・・・ただ、タバコという意味ではデュッセルドルフは喫煙室がほぼありませんので要注意です。
ここで食べすぎると機内で食べられませんので量は抑えます。
「12:05」定刻通りにボーディングがスタートします。ボーディングゲートは「111番」、かつては深夜のシンガポール便が出ていたスポットの近くですね。この日の東京の天候は曇りのち雨といった感じの冴えない空が広がっています。早く鉛色の雲を突き抜けて真っ青な空が広がる世界まで登っていきたいものです。。。
ほとんどいつも通り・・・という日常の光景を目にしているわけですが、唯一いつもと違うのは機材です。そう、本日の使用機材は「Boeing787-9」。私自身「-9」の国際線仕様機は初体験となるので、何が違うのか少し興味深く機内へ入って行きます。
「787-8」の国際線仕様機が「240席 / 169席」仕様であるのに対して、「787-9」の国際線仕様機は「246席 / 215席」と大型化しています。機体の仕様変更に関しては「福岡→羽田の記事(クリックで該当記事に飛びます)」でちょいと記載させていただいているので割愛しますが、かなりのマイナーな変更が加わった「-9」、国際線仕様機のキャビンでも何か変化はあるのでしょうか?
隣には787導入時に2機のみ施された「特別塗装の787」が駐機しています。この特別塗装大好きなんですが、最初期の8ということもあり、結構シップパターン的にはマイナー路線に投入されまくっていて不憫です。。。
さて、「12:25」にドアクローズし、その4分後にはプッシュバックがスタートです。真昼間ではありますが、まぁまぁ誘導路が混雑していましたので、ノロノロと使用滑走路へ向かい、「12:44」に羽田空港の「RWY34R」から、-9に装着された2機の超強力なエンジンが発する迫力のある加速感と共に離陸です。
本日私をまずミュンヘンまで運んでくれる便は「ANA217便(HND-MUC)」、使用機材は「Boeing787-9(JA796A)」、飛行距離は5,821mile、予定飛行時間は11時間19分となっています。
機体が最初の巡行高度であるFL360を目指している頃、ビジネスクラスのキャビンではアミューズのサービスが始まりました。このチーズとオリーブオイルのカップは大好きなメニューですので、とても気分良く食事を始めることができます。添えられているクルミの飴も非常に美味しいんですよね。ANAビジネスクラスの機内食、アミューズは以外とハズレが少ない印象です。
続いてアペタイザーです。これまたとても美味しくいただけたんですが、なにしろ差し込む日差しが超強力な日でして、良い光のバランスで撮ることがなかなか難しかったのです。アミューズで気を良くしたんでしょうかね?白ワインが添えられていますね(笑)、私にしては珍しい景色です。
まぁ、ヨーロッパ線はフライトタイムが11〜12時間ですからね、ワインの一杯でも飲んでゆっくりフルフラットシートで仮眠するってのが正しい時間の過ごし方な気はしますけどねぇ。ただ、お酒の弱い人はウェルカムドリンクやアミューズの時に調子こいてシャンパーニュは絶対頼まない様にしたほうがいいですね。炭酸成分によって血中に一気にアルコールが回りますので、相当酔います。私もよほど体調がいいとか、なんだかイケる気がする時しかシャンパーニュは注文しません。。。飲める体質だったらビジネスやファーストは楽しいでしょうねぇ(笑)。
定番ですが、メインは魚です。日本海を超え、ロシア領内に入って行く景色を眺めながらメインを頂きます。ここで「いつもとなんか写真の雰囲気が違うなぁ」と思われた方はこのブログをよく見られている方ですね(笑)。
そうなんです「787-9」は「-8」や「777系」についているスタッガードシートの「手前に引き出す方式」のテーブルとは異なり、座席横のカクテルテーブル下から引き出してくる「サイドローディング方式」なので、多少カメラと食事の位置関係が変わっちゃうんですよね。
唯一撮影されていた「引き気味に撮影した写真」を貼ってみますが、分かるでしょうかね?通常は目の前のモニター下からテーブルを引き出してきているので、実は食事の撮影時は少し奥までテーブル位置を戻すと良好な撮影角度が確保できるんですが、「-9」ではテーブルの前後位置調整の幅が少ないので非常に撮影しにくいんですねぇ。。。
これがご参考までに通常のスタッガードシートのテーブルです。横のカクテルテーブルの位置と食事の位置を見比べていただくと、いかに前方へ戻して撮影ができているかご理解いただけるとおもいます。「-9」ではこういう空間的な広がりを感じさせる写真はほぼ無理でございまして(笑)。
とまぁ、そんな撮りづらい「-9のスタッガードシート」に手こずりながらも、デザートタイムです。「あ〜知ってる知ってる、このマロンムースケーキね」、という事で若干飽きてきたこのケーキを頂きます。フルーツは甘い甘〜いこのケーキの後の口直し用です。人気あるのかな、これ・・・ずいぶんと長い間提供されている気がしますが。
横を見ても慣れ親しんだスタッガードシートとはちょっと違います。なんだかヘンテコな位置に電源があるし、全体的にウッディーになってますしね。リモコンもアップライトに近いポジションの時は取りやすいんですが、フルフラット付近にして寝ているときは完全に視界の外になっちゃいますので、取るために起きなければならず「なんでここに付けたんだよ〜(汗)」となってしまう謎改造です。
なんていう「-9スタッガードシートの使えない具合」に関しては、過去記事として散々ディスらせていただきましたのでご興味のある方は是非こちらをごらんください(笑)
→「ANAビジネスクラスの秘密 : 個人的には使いづらい787-9のスタッガードシート(ビジネスクラスシート比較 / 787-9, 787-8, 777-300ER, 767-300ER)」
という事で、この記事ではあまりこのシートをディスらず行きたいと思いますが(汗)、最新鋭の「-9」の機体としての乗り心地は最上の領域に入りますので、機内空間環境という意味ではめっちゃくちゃ快適です。「高めに保たれる湿度」「高めに保たれる気圧」という生理学的にも居心地良い空間に加えて、「静かなキャビン」「揺れにくい高度な制御技術」「揺れを吸収しやすい高柔軟性の主翼」「大きな窓で開放感のあるキャビン」・・・書いたらキリがないくらいやはり「787」は快適なのです。しかもその中でもさらにマイナーアップデートを施してデビューさせられている「-9」ですので、完成度がさらに上がっています。
同僚なども一度「787」を使用する路線で旅をしてしまうと「787」以外乗りたがらなくなる位、あまり飛行機に興味がなくてもその違い(快適性)は感じられる様です。
機体は順調に距離を消化して行っています。離陸から4時間後には、2nd CRZ ALTとなる「FL380」へステップアップし、その数時間後には最終の巡行高度となる「FL400」へ到達しました。本当に国際線が「787」化されてから頻繁にこの高度「40,000ft」超えの表示を見る様になりましたね。かつては非常に積み荷が軽い様な「条件が揃った時」にしかみかけない高度ではあったのですが。
ちなみに、純粋な機体性能指標のひとつとして「限界高度(運用上昇限度)」というものがあります。これは要するに機体の性能的に上昇できる限界の高度を意味していて、この高度以上では搭載しているエンジンの性能・出力では上昇を維持できなくなる(それ以上登らない)ということを指しています。
(まぁなんで上昇しなくなるの?って聞かれると、これまた長い話になりますが、シンプルにご説明すると高度を上げれば上げるほど空気は薄くなりますので、上昇するに十分な燃焼をエンジンがしなくなり、重い機体を上昇させるだけの推力を提供できなくなるってことですね。)
この限界高度、実は面白いことに「767」「777」「787」共に「43,100ft」なんです。にもかかわらず「787」だけが重くてもさっさと高高度まで一気に上昇できちゃうってのは、エンンジンの進歩と制御技術の進歩、そして機体の軽量化の成果ということなんですよね。
国際線といえば・・・で、一世を風靡しました「Boeing747(ジャンボ)」の限界高度はなんと「45,100ft」!やはりエンジンが4発ついているということの重要性を感じさせられます。
じゃぁ速度は?と思う方もいるかもしれませんので簡単に記載します。
標準巡航速度は「747」「787」が「Mach0.85(音速の85%)」であり、「777」が「Mach0.84」、残念ながら「767」は「Mach0.80」となっています。上空で「速い速い!」と言われていた「747」と同じ速度を「787」は出せますので、こりゃー速いわけです。
ちなみに「787」が死ぬ気で飛ばすとどうなるのか、というといわゆる最高速度に概念としては近い「運用限界速度」は「Mach0.92」だと言われています。時速換算すると1,100km/h程度ですが、音速自体様々な条件で変わる速度ですので、まぁざっくりそんなもんかーと思っておくのが幸せかと。。。
とまぁ、また無駄なことを長々書いてしまいましたが、そんな音速の85%で、マイナス50度の大気を切り裂いて移動する生命維持装置の機内からボケーっとコーヒーを飲んでこんな綺麗な景色を見れるなんてすごいですよねぇ、本当に。
ぼんやり考えているうちにもう機体はヨーロッパ圏内を順調に飛行中です。
ちなみに、上の写真にも写っていますが「-9」は「AVOD(Audio Visual On Demand)」も世代が変わっていますので、マップの画面は大きく変更されています。
ぶっちゃけ、これをちゃんと操作する旅客がどんだけおんねん?と思わされてしまうマップ画面。地図を様々な角度から操作できますし、画面はGoogle Map様です。縮尺を自由に調整できたりするので、そういう意味では「オタクな人達」にはとっても便利です(笑)。
機体の状況もリアルタイムで色々表示されます。
・・・が!
機体の傾き「Pitch & Roll」はデータが送られていないのか終始「0」のまま。。。一番これが見たかったのに。。。
しかも昇降率(Vertical Speed)は情報の真偽が怪しまれます。
なんせ離陸直後の昇降率は「10,000fpm」!!!
俺が乗ってるのは「F-15イーグルなのか!」。
だってこの数字信じたら離陸後、巡行高度まで3分半でっせ奥さん・・・。
・・・うそこくなよ・・・。
なので、このフライトマップは私の中では「高度だけど、ちょっと使いにくいやつ」ってイメージしか残っていません。
こちらの謎仕様だった昇降率数値ですが、気づいたらまともな数値を表示する様になっていました。おそらく初期のバグかなんかだったのではないかと思われます。なので、現在はおおよそ正確な数値を座席から知ることができます。
悲しくなったので着陸前にラーメンでも食べようかとおもいます。バターを入れて食べるのがオススメだそうですよ。・・・機内であんまりラーメン食べないんで、美味しい食べ方は今後研究しないといけないですね。いや、このラーメンもなっかなか美味しくお腹を満たすことができました。
眼下にヨーロッパの大地が見えてきました、こうやって機内からシェブロンノズル(後ろのギザギザしてる部分)を含んだエンジンの全体像を見れる座席って数少ないのでなかなか絶景です。
離陸から10時間40分後、機体は巡行高度である「FL400」を発ち「FL340」まで高度を降ろします。いよいよ目的地ミュンヘンに向けたアプローチが開始されました。
離陸から10時間53分後、ついに機体は「FL340」からも旅立ちTOD(Top Of Descend)を迎えます。これからはグイグイと高度を落とし、空港へ向けコックピットが最も忙しくなる時間帯です。同様にTODから12分後には機内でも「4チャイム」が鳴り響き、最終の着陸態勢に機体が入ったことが告げられます。荷物を整理し、座席をアップライトポジションへ戻し・・・いつもの着陸前ルーティンをこなす頃には、5,800mile以上を飛行し8時間の時差がある街へ降り立つ時が近づいたことを明確に理解してゆきます。
出発から11時間37分、ついに私たちを乗せたNH217便は「ミュンヘン・フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港 / Flughafen München Franz Josef Strauß)」RWY08Lへスムースにランディング。そのまま216番スポットへ機体は滑り込み、第1レグとなるミュンヘンまでの旅が終わりました。
この旅の始まりから終わりまでの約11時間半を、ぐちゃー!っと約8分にまとめた動画がありますので、暇で暇でしょうがない方は是非ごらんください。
名付けて「8分でミュンヘン」、少し空の旅をした気分になってもらえるかもしれません。
さて、ミュンヘンに到着した私はそのまま「Lufthansa Senator Lounge」へ駆け込み、次のコネクションに備えます。残念ながら今回のコネクションは少々時間が余っておりまして、夕方の17時過ぎにミュンヘンに到着したものの、次の最終目的地「ブリュッセル」行きの便の搭乗は21時過ぎ、結構暇なんですよ。
しかも、到着直後からどうも風邪?というような熱っぽい感じで体調が優れなかったため、早くブリュッセルへ着いてホテルの部屋で寝たい・・・というモードにも関わらずセネターラウンジで時間を潰さねばならないという、上手くいかないときはこんなものというような時間を過ごさねばなりませんでした。海外の出入りが多くなると、どこかで疲れが一気に出ますので、こういう移動時に出てくるとしんどいですね。
とわいえ、スモーキングスペースも充実した空港でもありますので、ラウンジを出たり入ったりしながらタバコを吸いに行ったり、他のゲートを冷やかしたりして時間を潰せば無事ボーディングです。指定された「G47」ゲートへ向かうと、ちょうど優先搭乗が始まるタイミングでした。ボーディングブリッジ内の空気がやや肌寒く、いよいよ今年も秋〜冬になるなぁという感触を肌で感じつつ暖かい機内へ入ります。
利用する便は「ルフトハンザ2294便(MUC-BRU)」、機材は「Airbus A319(シップナンバー不明)」、飛行距離371mile、予定飛行時間約1時間の空の旅です。
この日は比較的ビジネスクラスにも旅客がいて、賑わった機内でしたが、パリのテロなどが起きる前でしたのでまだそこまでは世界的にブリュッセルがホットな街になる前(というか直前)でした。しかしながら、EU本部もありますしヨーロッパの要所という意味では出入りするビジネス客、観光客共に多い街であることは、この便の混雑状況でもうかがい知ることができます。
離陸後すぐに夕食がサーブされます。左上に見えるプレッツェルはしっかり温められているので地味に香ばしくて美味しいんですよね。ラウンジでは調子が悪くてあまりご飯を食べなかったので、機内で小腹を満たさせてもらいました。
近距離のフライトですので、ご飯を食べてコーヒーを飲み干せばもう機体は降下を始め眼下にはブリュッセル郊外の様子が目に入ってきます。到着すればもう結構な夜ですので、さっさと空港を後にして、ホテルへ一目散です。近距離ルフトハンザのフライトの常で、なんどか旋回を繰り返したのち、軽いショックを伴いながら極めて手慣れたランディングを披露します。そのまま、スピーディな地上走行の後、私は最終目的地であるブリュッセル国際空港のボーディングブリッジを渡っていました。
思えば遠くへ来たもんだ・・・じゃないですが、すっかり夜中になってしまい翌朝のスタッフとの合流まではホテルの部屋でゆっくりしたいとおもいます。
せっかくですので、次の記事ではブリュッセルの街の様子などをご紹介したいとおもいます。ブリュッセルはご飯も美味しいので、意外と長期間滞在していても苦しくありません。今回はいつもよりは長期の滞在ですので、少し街を楽しんでみましょうかね。
ではまた!
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みりお様
コメントありがとうございます!
いいですねぇ、ローマ!
過日ミラノへ行った際はデュッセル経由でしたが(http://styledeptcreative.blogspot.jp/2015/12/milan-nh209-nrt-dus-business-class.html)ミュンヘン経由の方が何かと便利そうです。
道中のアルプス越えなど、機窓も是非お楽しみくださいね。
・・・スタッガードの件は色々好き勝手書いていますが、10時間以上暮らす空間です
からね。出来る限り使い勝手、過ごし心地が良いに限りますよね。「-9」のシートは
ルフトハンザなどのビジネスクラス(開放感がコンセプト)がお好きな方にはフィッ
トし易いと思っています。みりおさんはどうでしょうか?(笑)。
是非、楽しいローマ滞在を過ごされること祈念しております!
また遊びに来てくださいませ。
はじめまして。
たまたまこのブログを拝見しましたのでコメントいたしました。
近々ミュンヘンを経由してローマに行くのですがANA217便のビジネススタッガードを利用します。787-8から9へのスタッガード改悪(笑)?を体験しつつ楽しんでこようかと思います。
参考になりました。ありがとうございました。<(_ _)>